2020年4月8日

【Immersive.world】エピソード1「イマーシブ・シアター」

(文:石川淳一)

アメリカのPBSで配信されている『Immersive.World』という番組があります。
これは「イマーシブ」(没入型)と呼ばれるさまざまなジャンルのコンテンツを10のテーマに沿って、作品紹介を中心に映像と関係者のインタビューで紹介するもので、イマーシブ系の最近の潮流を映像で知ることができる、非常にワクワクする番組です。


しかし、残念なことに海外からの視聴を制限しているらしく、日本からは普通の方法では観ることができません。そこで「ARG情報局」では、『Immersive.World』を各話ごとに順に紹介していきたいと思います。

ただ紹介するといっても、なにしろ石川の英語力なので話している内容はほぼ分からず、かつ紹介されるほぼ全部のコンテンツに参加経験がないので、映像から把握できる表面的な内容になってしまいますがご了承ください。間違い等あれば指摘いただければ助かります。

1回目の『Immersive.World』Episode 1のテーマは「イマーシブ」と聞けば多くの人が最初にイメージするであろう「イマーシブシアター」です。

イマーシブシアターとは何かを簡単に説明すると、舞台と座席が区切られておらず、観客が演じる役者と同じ空間の中で回遊しながら鑑賞する演劇と言えばいいでしょうか。
ただ、観客の自由度はイマーシブシアター毎にけっこう違いがあって、巨大な建物の中を本当に自由に歩き回れるようなものから、ある程度分岐しつつも基本的には誘導されながら鑑賞するものやワンフロアのもの。また、観客が物語に干渉できたり、謎解き的な要素があるものなど、様々なタイプが登場しています。

まず、最初の5分くらいでいろいろな関係者がイマーシブシアターの特長について話しています。

映像:「Immersive.world」Episode 1より 

全体をナビゲートしてくれるAdam Feldmanさんは、ニューヨークの情報サイト『Time Out New York』の、演劇評論部門のチーフらしいです。

石川の英語力なので内容はけっこう怪しいですが、
「イマーシブシアターという概念そのものは決して新しいものではないが、最近急速に発展してきている」
と複数の人が語っているのと、ニューヨークでイマーシブシアターが流行する理由を
「ニューヨークでは普通に移動するだけで、街のあちこちでクレイジーなイマーシブイベントが起こってるからね。みんなイマーシブに慣れてるんだよ」
みたいな話が面白かったです(半分ジョークなんでしょうけど)

そして作品紹介に入りますが、1つ目はもうイマーシブシアターと言えばこれでしょう!の『Sleep No More』。
ニューヨークにある昔のホテル一軒をまるごと使って生み出された壮大なイマーシブシアターは2011年に上演されるや大ヒットとなり、現在のイマーシブシアターブームを生み出すきっかけにもなりました。
(と、偉そうに書いてますが、石川は『Sleep No More』未体験組です。新型コロナが落ち着いたら上海でもいいのでぜひ観に行きたいなあ)

『Sleep No More』は基本的に台詞がないノンバーバル形式のため、英語が苦手な日本人でも楽しむことができます。web上にもたくさんの日本語記事があるので、詳しい内容に興味のある方はネット検索してみてください。
(これから行く予定のある方はネタバレに注意!)

作品の映像は上海版のトレーラービデオが多めだった気がしますが、それ以外のものもたくさんあったので、この番組独自の撮影をしたのかどうかはちょっと分かりませんでした。

上海版Sleep No Moreのトレーラー

作品の映像と共に関係者のインタビューが入ります。
『Sleep No More』アンバサダー(どういう役割なんだろう?)のCesar Hawasさん。

映像:「Immersive.world」Episode 1より

番組の後半に出てくるイマーシブシアター『Here』の監督でもあるKelly Bnrtnikさんは、『Sleep No More』のオリジナルキャストでBald Witch役をやっていたそうです。


映像:「Immersive.world」Episode 1より

Tori Sparksさんは『Sleep No More』でマクベス夫人やHecate役をやっている方みたいです。


映像:「Immersive.world」Episode 1より

次の事例紹介は、『Sleep No More』とは対照的な小規模なイマーシブシアター『Here』。2017年にニューヨークで行われた公演です。
4人の登場人物が織りなす家族の物語をたった5人の参加者が観るイマーシブシアターらしい。オフィシャルトレーラーはこちら。


オフィシャルトレーラーだと分かりにくいのですが、番組だと家の中を中心にかなり狭い空間でいろいろな会話が行われている様子が映し出されています。そして観客数から解るように、とてもone on one(役者さんと一対一で絡まれること)が多いみたいです。
ただ、『Sleep No More』と違ってセリフがけっこうあるみたいなので、もし再演されても日本人には辛いかもw



映像:「Immersive.world」Episode 1より

『Sleep No More』でも登場したKelly Bnrtnikさんは『Here』の監督です。
本人のサイトにも『Here』の情報が少し載っています。

映像:「Immersive.world」Episode 1より

Donna Costelloさんは『Here』の俳優さん。

映像:「Immersive.world」Episode 1より

Jeffrey LyonさんとZach Martensさんも『Here』の俳優です。


映像:「Immersive.world」Episode 1より

そして、なぜか『Here』のパートではインタビューに登場していないのですが、Bnrtnikさんのサイトをみると『Sleep No More』で登場したTori Sparksさんも、俳優&アートディレクターで参加しているようです。
どうやら、『Sleep No More』で知り合ったのが縁で、一緒に『Here』をやることになったみたい。

映像:「Immersive.world」Episode 1より

最後にそれまでの登場者たちのイマーシブシアターについてまとめのようなコメントがあって『Immersive.World』エピソード1は終わりとなります。

次回の『Immersive.World』エピソード2は「デジタルギャラリー」。ビジュアルアートのデジタル化が進んでいく中で登場した新しいギャラリーや作品が紹介されます。
いろいろ調べながらの記事作成になるので、不定期更新になるかと思いますが、気長にお待ちください。


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