…というわけで、かなり遅くなってしまいましたが、よしたかによる『【ある家の肖像】展』のレポートです。
「【ある家の肖像】展」は、「るくる島黄金伝説」「龍宮学校」などを開催しているアート団体
るくるが2012年4月に行ったインスタレーション(空間芸術 /
Wikipedia参照)です。会場は、美術作家の
松岡友さんのご実家(!)でした。
イベントは当日15時から始まっていたのですが、僕が到着したのは23時頃。
出迎えてくれたのは本人役の松岡友さん、台所で料理をつくるお母さん役の
隊長檸檬さんなど、それぞれ家族の役割をこなす、るくるの方々。そして参加者は、ごはんを食べる者、リビングのテレビでファイナルファンタジーⅦをプレイする者、風呂に入る者など、まさに家族として、その場所で思い思いにくつろいでいました。
そう。その場所は家、まさに実家。あまりの実家っぽさにARG、代替現実、アート、インスタレーション、そんな言葉はどこかにすっ飛んで、ただただ実家に帰ってきたような気分でごはんを食べ、お風呂に入り、家族と談笑していました。
個人的な話になってしまいますが、私の実家は自宅から車で30分ほどのところにあり、事あるごとに帰っているので、それまであまり「実家に帰る」という行為にノスタルジーを感じることはありませんでした。でも、だからこそ、参加者全員が家族になりきって家族を再現することに意味があると思ったし、そうすることによって私がついぞ現実では体験し得なかった「実家に帰る」という奇妙な懐かしさを感じることができたのかな、という気がします。
また『【ある家の肖像】展』はこうした「家族を体験する・再現する試み」だけではなく、さまざまなアート作品も展示されていました。
2階に続く階段は白いスピーカーに覆われ、ボーカロイド系のダンスミュージックとVJが流れているし、クローゼットにも、2段ベッドの側面にも、壁にかかっていたおもちゃのバスケットゴールにも作品があるし、果てはベランダの外に出ないと見えない空へと続く光の柱などなど(夜中寝ようとしていた人たちがこれで大騒ぎ)、思いがけないところにまで作品が展開されていて、これだけでもじゅうぶん楽しめるような展示でした。
また、深夜の消灯前後には、松岡友さんの学生時代のドローイングや日記をみんなで回し読みするという恥辱プレイも。
ミラーボールがまわる寝室で眠ります。
階段に張られていたスピーカーは撤去され、静かな朝を迎える、ある家。
朝食ももちろん家族全員で食べます。食パンがおいしかった。
思えば、家族揃って朝食を食べるなんていつぶりだろう。
本当の家族でもしないようなことを赤の他人としてしまう、魔力みたいなものがこの家にはあったのかもしれません。
そして【ある家】は午前9時に封印されます。
ざっとまとめた形になりましたが、以上が『【ある家の肖像】展』のレポートです。
松岡さんによると2013年の開催はまだ未定とのことですが、もし開催されることがあれば、また、あの家に帰りたいです。
関連リンク
【ある家の肖像】展 ~一夜の家族、ご用意します~ | るくる
【ある家の肖像】展 ~一夜の家族、ご用意します~ - Togetter