CEDEC 2019 において、ARG情報局の編集人でもある石川淳一さんが『トランスメディアストーリーテリングから学ぶ「ゲームで物語る」手法 2019』と題した講演を行いました。
Transmedia Storytelling 自体は、関連の洋書が数多く出版され、全米のプロデューサによる組合のPGAが2010年に Transmedia Producer というクレジットを定義する(英語記事)など、欧米においてある程度の歴史がある概念ですが、国内にはほとんど紹介されてこなかったこともあり、貴重な講演となりました。
客席は立ち見が出るほどの超満席で、入れなかった方もいらっしゃったようです。
参加できなかった方は、4Gamer.netの記事がとてもわかりやすく講演内容をまとめていますので、ぜひご覧ください。
また、SlideShareに講演資料が上がっていますので、以下に貼っておきます。
60分で語りきれないほどの大量の事例が載っていますので、ご一読いただけば、様々な発想を刺激されること間違いなしです。
Transmedia Storytelling について、少し補足しますと、前述のPGAの定義によれば、Transmedia と認められる条件は以下のようです。
同一の物語世界における3つ以上の物語が、以下のようなプラットフォームで展開されていること: 映画、テレビ、短編映画、インターネット配信、出版、コミック、アニメ、モバイル、特設会場、DVD等、CM類、そして、現在存在する、あるいは存在しないその他のテクノロジー。なお、それぞれは、他のプラットフォームの物語からの切り出しや焼き直しであってはならない。最後の「現在存在する、あるいは存在しないその他のテクノロジー」という項目がおしゃれですね。未来を包括する良い定義だと思います。
講演内で「ARG は、現実空間やリアルメディアを用いた Transmedia Storytelling のことである」と説明されたように、ARG と Transmedia Storytelling は、完全に一致しているわけではないとはいえ、極めて近しい概念です。あるエンタメを、プレイして得られる代替現実感に着目して分類するか、あるいは使用メディアの多様性という客観的に評価できる指標に着目して分類するかという違いでしかない、というケースも多々あります。
単純に、正体不明の「ARG」という略語よりも、「トランスメディア」という言葉の方が、ニュアンスが伝わりやすいという利点もあるかもしれません。ぜひ、皆さまも、伝わりやすさや、大事にしているポイントの違いによって、場面場面で、「ARG」と「トランスメディア」を使い分けていただければ幸いです。
(文章:@epi_x)
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