2012年12月24日

『推理展示-殺人事件-』レポート


少し前になりますが、2012年10月20日〜21日に「推理展示-殺人事件-」という一風変わった展示が開催されました。レンタルスペースのデザインフェスタギャラリー原宿の一室で開催されたこのイベントは、殺人事件の現場が展示されているだけというもの。



受付で1000円払うと捜査資料一式を買うことができ、あとは好きな時間、好きなだけ推理することができます。捜査資料の最後には回答欄が付いており、受付に提出すると採点してもらえます。

写真付きでよくわかる検死報告書

捜査資料は大ボリュームで、被害者となった芸術家の雑誌インタビュー記事まで用意されている充実ぶり。参加者から、現場で読み切れないので一部事前公開しておいて欲しかったといった声が聞かれるほどでした。


そして、会場には、殺人現場らしく、生々しい証拠品が並んでいます。初日は静かな出だしだったようですが、口コミで評判が広がり、日曜日の夕方には現場の調査を希望する探偵たちがひっきりなしに訪れていました。最終的には100名近い参加者が訪れたようです。

私も実際に探偵として参加し、2時間かけてチャレンジしました。結果は残念ながら5問中1問不正解。参加型ミステリイベントとしてはまだ荒削りな部分も感じられたものの、あれこれ悩む楽しい推理タイムを存分に堪能させていただきました。

被害者の気持ちになって推理する熱心な探偵A
(※この写真はやらせです)

この展示を企画した dp96s (ディピィクロックス)さんに企画の経緯などを伺いました。
グループの概要と結成のきっかけ
もともと謎解きイベント界隈で親しかった仲間だったそうですが、その中の一人が東京から離れてしまうことになった時に、その友人のためだけに対個人ARG「ゆうじんがゆうかいされました」(紹介動画)を制作したのがチームを作るきっかけだったとのこと。
今回の企画のきっかけ
前述のARGに関わったメンバーの一部で飲みに行った際に、推理ものを作りたいね、という話が出たのがきっかけ。最初はABCの懸賞付きミステリドラマ「安楽椅子探偵」シリーズをリアルにやってみたいというところが出発点でした。 近年、謎解きイベントがたくさん実施されてきていますが、そうではなくて推理を中心に据えてみたい。ロジックやリアリティにも妥協せずに拘りたい。とはいえ、既存の参加型本格ミステリイベントは、リッチな体験ができる代わりに参加費がかなりかかるので、もっと安くして間口を拡げたい。そんな想いから、今回のスタイルを考案したとのことです。
制作体制
dp96s では企画を考えた人がその回のメインをやるという運営方式をとっているとのこと。今回の推理展示では、シナリオ及びトリックの立案・捜査資料の制作はましーさん(@massy_o)が行い、それを他のメンバーが検証する体制をとりました。また、現場の小道具の作成・文章校正はチームで分担して行いました。

今回は殺人事件というところにフォーカスして、推理に必要な要素をシンプルにまとめた形になりましたが、次回では、本格推理小説につきものの、ミステリアスな雰囲気を加えていきたいとのこと。

体験型エンタテインメントの制作者が増えるにつれ、こうした新しい構造の娯楽が発明されてきていることは、未来の可能性を感じる、とても喜ばしいことです。次回の企画もたいへん楽しみですね!

関連リンク
推理展示-殺人事件-
Twitter: @dp96s

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