いよいよ今週土曜日に迫ったSIG-ARG第4回セミナーで、事例紹介をいただく3件につきまして、予習としてプチ事例紹介させていただきます。今回取り上げさせていただくのは「果汁グミ メグミとタイヨウ」です。
「メグミとタイヨウ」は、果汁100・着色料不使用の自然派グミである明治の果汁グミを、若者に向けて訴求するための Twitter を利用した双方向キャンペーンで、「Tweet Love Story」「Tweet Mystery - 消えたサファイアロマンの謎」「Tweet Fantasy - タイムラインワールド」の全3部作となっています。
プロモーションとしての成果も素晴らしく、IとIIを実施した後には果汁グミの売り上げが約150%の増加。第65回電通広告賞のインターネット広告部門を獲りました。
3部作とも変わらないのは、純朴な主人公タイヨウ (@gummi_taiyo)くんと、その恋人メグミ (@gummi_megumi) の2つの Twitter アカウントがあり、タイヨウくんはフォロワーからのメンションに反応し、メグミは一切反応しない、という構造です。Tweet Love Story で1万人以上からの反応を得たのち、Tweet Mystery, Tweet Fantasy と同じアカウントでの展開を続けて、最終的には2万人近いフォロワーを得ています。
また、マッドハウス制作の TV CM アニメーションも特徴で、毎回、TV CM で始まり、Twitter で進行した後、最後に Web 限定のエンディングムービーでエンディングという構成となっています。
「メグミとタイヨウ」は、現実世界こそ使っていないものの、TV CM+Twitterというトランスメディア構成で、参加者と登場人物のコミュニケーションやリアルタイムのストーリーテリングという観点から見ても、非常に ARG 的な体験型企画となっていました。3部作それぞれについて、ARG情報局でも取り上げてきましたので、さらに詳しいことは過去のメグミとタイヨウ関連記事をご参照ください。
Tweet Love Story
記念すべき1作目。どのようなお話だったのかは、Tweet Love Story 公式サイトに置いてあるダイジェストムービーを見ていただくのが分かりやすいかと思います。
メインストーリーは、ぶどう園で働くタイヨウくんが、東京に出てきて働いている幼なじみのメグミに想いを伝える、というシンプルなもの。しかし、メグミは勤務先の店長に憧れており、タイヨウくんは一緒に働いている年上のミドリさんから想いを寄せられている、という人間関係と、なによりすぐに悩み始める草食系なタイヨウくんの性格付けによって、フォロワーの皆でタイヨウくんをあの手この手で励まし、尻を叩いていくという展開となりました。
タイヨウとメグミの全つぶやきは メグミとタイヨウ Tweet Love Story - Togetter にまとまっています。タイヨウくんがフォロワーと頻繁にコミュニケーションをしており、フォロワーがタイヨウくんに本気でアドバイスしている様子が分かるかと思います。
最後、メグミがタイヨウの Twitter アカウントを発見、そのツイートを読んだ後に、タイヨウの想いを受け入れたことをメグミがタイヨウをフォローするという形で表現したクライマックスには、タイヨウ応援団の皆でホッとしたものでした。
Tweet Mystery - 消えたサファイアロマンの謎
2作目は、1作目から一転、謎解きを中心とした展開となりました。公式サイトの「スペシャル予告ムービー」と「スペシャルムービー(エンディング)」を見ていただくと概要が分かるかと思います。
タイヨウのおじいちゃんが大切に育てていた新種のぶどう「サファイアロマン」の苗木が盗まれた。誰が、何故盗んだのか!?というストーリー。
SCRAP が監修した本格的な謎が次々と出題され、それを解くことで、サファイアロマンに隠された過去と現在の物語が展開していきます。
タイヨウとメグミの全つぶやきは メグミとタイヨウII Tweet Mystery - Togetter にまとまっています。今作から登場するアオイくんが、見事なツンデレだと一部で話題になったとかならなかったとか。
なお、タイヨウくんが直面する謎をみんなで解くという構成だったため、解くのが早い人が早々にタイヨウに答を知らせるものの、全体の進行調整のためタイヨウくんがひたすらスルーし続けるという展開が多発。答がはっきり出てしまう謎を全体プレイで扱う難しさが浮き彫りとなった側面もありました。参加者は早々にそういうものだと理解し、なんとなく受け入れていたようです。そのカオスでエネルギーに満ちあふれた様子は、ある日の全メンションをまとめた メグミとタイヨウII Tweet Mystery 3/3 メンションまとめ - Togetter で垣間見ることができます。
Tweet Fantasy - タイムラインワールド
3作目も1作目・2作目とまるで異なるテイストで、今度はファンタジー展開となりました。公式サイトで「限定60秒TV CM(オープニング)」と「エンディングムービー」が公開されています。
ある日、メグミが眠ったまま目覚めなくなってしまい、タイヨウくんが原因を探ったところ、メグミの意識がタイムラインワールドという異世界に囚われていることが分かります。メグミを助けるため、タイヨウくんは単身、異世界に意識をダイブさせます。
物語設定の違いもさておき、今作の特徴は、参加方法が恋愛相談や謎解きとは打って変わり、「@gummi_taiyo タイヨウに水鉄砲」などのように、タイヨウに渡したいものをつぶやくと、そのつぶやきが異世界で実体化するというものになったことでした。
つぶやきミッションの進行状況がわかる専用サイトも用意され、そこでボタンを押すことで自動でつぶやくことも可能になっていました。以下、水鉄砲ミッション時の進行に応じた画面の変化の例です。右のゲージが溜まっていくにつれ、徐々にタイヨウくんの手に水鉄砲が形作られていきます。
そして、何より特筆すべきは、その最初のミッションの始まり方でした。Twitter では先行して物語が始まっていたのですが、タイヨウが異世界に飛び、最初の難関にぶち当たったそのタイミングで、限定60秒TV CMが1回だけ放送され、Twitter と CM 両方で同時に、最初のミッション「タイヨウに橋」を全国に依頼したのです。当時の Twitter の様子は メグミとタイヨウIII Tweet Fantasy イベント1「タイヨウに橋」 - Togetter にまとめていますが、CM放送後の30分間で約1万回の tweet が行われており、たいへんな盛り上がりとなりました。
60秒CMを限られた回数だけ流すというのは前作でも行っていました。しかし、60秒CMを1回だけの放送で抑え、回数が1回に絞られているからこそ、ソーシャルネットワーク上で莫大な反応を引き起こす、という仕掛けは、この企画が唯一無二だったのではないかと思います。物語を丁寧に説明し、タイヨウくんを助けるために、あなたにこのアクションをして欲しいのだ、と具体的に呼びかけるCMは説得力があり、60秒という尺の利点を大いに活かしたものでした。
Tweet Fantasy でのタイヨウとメグミの全つぶやきは、メグミとタイヨウIII Tweet Fantasy (その1) - Togetter と メグミとタイヨウIII Tweet Fantasy (その2) - Togetter にまとめています。
このように、全3作で、基盤となる Twitter の構造は引き継ぎつつも、参加者の参加方法を様々に変えてきているのが「メグミとタイヨウ」のたいへんユニークな点です。そもそも体験型企画で、同じ Twitter アカウントを引き継いだ連作を実施した前例もほとんど記憶にありません。
ストーリーテリングを重視し、キャラクターを大事にした体験型企画で、しかもこれだけ様々な試みをしているということで、それぞれのアプローチでの参加者の反応の違いなど、興味深いお話がいろいろと聞けるのではないかと期待しています。
また、数週間にわたってフォロワーからのメンションに反応し続けたタイヨウくんの Twitter 運営に関する苦労話なども伺えればと楽しみにしております。
こんな「メグミとタイヨウ」の事例紹介を聴けるSIG-ARG第4回セミナーについて、詳しくは、SIG-ARG 第4回セミナー「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」の紹介記事 をご確認ください。ご来場をお待ちしております。
関連リンク
ARG情報局: 10月20日 SIG-ARG 第4回セミナー「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」開催
過去のメグミとタイヨウ関連記事
メグミとタイヨウ Tweet Love Story
メグミとタイヨウII Tweet Mystery - 消えたサファイアロマンの謎
メグミとタイヨウIII Tweet Fantasy - タイムラインワールド
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