2016年12月8日

【ミニニュース】『謎解きLIVE』新作、Ingressで日本限定の謎イベントなど

■『謎解きLIVE』次回はクリスマスイブ

恒例となったNHK BSプレミアムの『謎解きLIVE』ですが、次回は2016年12月24日に『CATSと聖夜の殺人者』が放映されるとのことです。
これまでのシリーズは二夜連続でしたが、今回は一夜のみ1時間に変更されています。
また、それに先駆けて前作の『[四角館の密室]殺人事件』が12/19、12/20に再放送されるとのこと。

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■Ingressで日本限定の謎イベント

2016年12月10日にIngressを使った日本限定謎イベントが行われるようです。
Investigateのページに謎の写真が掲載され、12/10正午から日本で開催されるイベントであろうと書かれています。

Ingressの情報サイト『charingress.tokyo』では、以前ケータイWatchのインタビューで予告されていた12/10のイベントではないかと考察しています。
写真に載っている場所が全国各地に散らばっていることから考えるに、特定の一地域でのイベントというよりは、日本全国でプレイヤー同士が協力してのプレイが予想されます。さて、どんなイベントになるのでしょうか。

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■「なぞともカフェ福岡天神」オープニングセレモニーの謎解きが開催中

「なぞともカフェ福岡天神」の開店を記念して2016年12月17,18日のオープニングセレモニーに参加できる謎解きが開催中です。
今までの流れでは福岡で完結するのではなく、各地の「なぞともカフェ」に誰かが行かないと解けないようで、これもIngressのイベントと同じく全国の仲間で協力して展開する必要がありそうです。
Twitter上で情報交換がおこなれてているので、最新の状況はハッシュタグ「#なぞとも天神をさがせ」で確認するといいかと思います。

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(文章:石川淳一)

2016年6月18日

ARG読書会~『のめりこませる技術 ─誰が物語を操るのか』を読む 第1夜~ 7/3夜開催

7/3(日) 19:00よりARGの知識を深める課題図書を定期的に輪読する読書会を開催します。

取り上げる書籍は『のめりこませる技術 ─誰が物語を操るのか』(フランク・ローズ著, 島内哲朗訳)です。


デジタル技術の普及という大変革によってアメリカのエンタテインメント業界や広告業界はどのように変化していったのかをまとめた書籍であり、ARG制作にとって重要な手法や事例についても触れられている名著です。

※参加にあたり、課題書籍は各自でご持参ください。
「のめりこませる技術-誰が物語を操るのか」Amazon販売ページ

読書会終了後、会場にケータリングを持ち込んで懇親会を行います(代金は参加費に含まれます)。


◆開催概要
主 催:NPO法人IGDA日本 SIG-ARG
日 時:2016年7月3日(日) 19:00-21:00(開場18:50)
会 場:エフピー・ワン・コンサルティング セミナールーム
(東京都千代田区飯田橋3-4-3坂田ビル8階)
参加費:2500円


参加を希望される方は、下記よりチケット購入をお願いします。
【チケット購入ページ】


これから1~2ヶ月おきに定期開催して課題図書を1~2章ずつ輪読する予定ですので、当面は『のめりこませる技術』を読み進めることになります。ただし参加者は必ずしもすべての回に出席する義務はありません。
SIG-ARGとしては久々のオフライン勉強会となります。ARG制作に携わっている方、これからARG的な手法を学び役立てたいと考えている方のご参加をお待ちしています。


関連リンク

2016年6月15日

【ARGとの交差点】VR ZONE体験録

はじめに

ARGの魅力の1つは物語の世界に入り込んだような体験ができることですが、最近話題のVRゲームも手法こそ違いますが同じように物語世界に入り込んだような体験ができるエンターテイメント。
気になる!ということで、バンダイナムコエンターテイメントが運営するVRエンターテイメント施設『VR ZONE Project i Can』のアトラクションを体験してきましたのでレポートいたします。


予約必須!?

まだこの施設、期間限定OPENということで、予約制になっています。
毎日、午前0時に1か月(30日)先の1日分の予約が解禁される仕組みになっていますので、体験したいという方はまず公式サイトで予約しないといけません。
体験は予約した時間で、およそ80分遊ぶことができます。
1アトラクション6分~14分で、6/9現在6つのアトラクションがありますので、頑張れば時間内に全部体験できるかもしれません。

場所と時間


場所は、ガンダムの立像で有名なお台場のダイバーシティの3F。
ゆりかもめなら「台場駅」から徒歩5分、りんかい線なら「東京テレポート駅」から徒歩3分です。

体験できる内容と料金

料金の支払いは、バナパスポートというSuicaのようなカードで支払います。
まず、入り口でこのバナパスポート(300円)を購入し、アトラクション料金用のお金をチャージします。
後から返金できませんので、とりあえず絶対体験するというものの料金だけチャージし、残り時間の様子を見て後で追加チャージするのがよいと思います。

体験できるアトラクションと料金は以下の通りです。
①スキーロデオ 700円
②リアルドライブ 700円
③高所恐怖SHOW 1,000円
④脱出病棟Ω 800円
⑤トレインマイスター 700円
⑥アーガイルシフト 700円
それぞれどんなアトラクションかは以下の公式サイトをご覧ください。
https://project-ican.com/#lineup

今回はこの中から2つのアトラクションをご紹介します。

脱出病棟Ω

本当に襲われるVRお化け屋敷!ということで体験してきました。
2~4人で一緒に体験するお化け屋敷です。

※以下、ネタバレも含みますのでお気を付けください。



このVRお化け屋敷は椅子に座って、ヘッドマウントディスプレイを装着して体験するのですが、
その没入感を上げるため、全員車椅子に乗っているという設定です。
なるほど!その手があったか!と思いました。

ARGのように現実世界がゲームフィールドになるわけではなく、コンシューマーゲームのように自分がゲームの世界に入るわけなので、どうしても作り物のゲームの世界に入りますよ、という心構えができてしまうものですが、こういった没入感を上げる演出が随所に施され、さらに鮮明な視界、環境音が伴うと、自分でこれはゲームなのだと分かってても、もう廃病棟にぽつんと取り残された現実しか感じられなくなってしまいます。

椅子には電動車椅子みたいなレバーがついていて、これを使って前進・後退を操るのですが、
ゆっくりしか動かず、「こんなにゆっくりじゃオバケから逃げられないじゃん!?」と、最初からドキドキです。
入り口に「暴力シーンやグロテスクな表現が含まれます。ご注意ください。」と書かれているだけあって、廃病棟の中は血らしき跡がそこら中にあってめちゃくちゃ怖いです。
さらに殺人鬼らしき謎の人物が凶器を片手に襲ってくるので、「もう勘弁してくださいっ!!」となることうけあい。

このゲームの最後に私がどんな結末を迎えたかはここでは書きませんが、これは怖いものキライな人ならトラウマになること間違いなし!
本当に面白かったです!

アーガイルシフト

美少女と一緒に巨大ロボを操縦して戦える!という、男の子の夢が詰まっていると話題のゲーム。
こちらは1人ずつ体験できるタイプのゲームでした。

※以下、ネタバレも含みますのでお気を付けください。



コックピット風のシートに座って、ヘッドマウントディスプレイを装着。
サイバーな空間に放り出され、パイロット認証が行われます。
サイバーパンクでのサイバースペースにジャックインするような感じでしょうか。

認証が終わると、回りの風景が開けて、自分はコックピットに座っています。
コックピットの壁面はシースルーで、おそらくロボットのカメラで外が見えるタイプのもの。
周りには巨大なロボットが並んでおり、ここがロボットの格納庫だということがわかります。
視線を動かすと、ターゲットアイコンも動くのですが、周りのロボットなどにあわせるとそのロボットのパイロットが映し出されます。

そして、美少女戦闘サポートAI「アイネ」が現われます。
この娘、なにげに露出度が高い上に、すっごい近寄って来るのですが、VRゆえの環境音や立体感、そしてこっちを見てくる視線等から、存在感が半端なく、ゲームだと分かっていてもドギマギしてしまいます。スゴイ!

で、どうやらこの格納庫は巨大な飛行輸送船だったらしく、格納庫の床のハッチが開き、次々と機体が射出されていきます。
自分もガタンという衝撃とともに降下開始!
スゲー!オレ今巨大ロボを操縦している!という感覚が味わえます。
空中での敵機との戦闘も楽しい!最高です!
子供の頃から夢見ていた巨大ロボに乗るという体験ができるというのは、すごいことだと思います!

その他気づいた点など

やはりVRの面白いところは360度見れるところだと思いました。
こればっかりは大きなテレビでも勝てないところで、巨大なキャラクターを見上げたりするなんてことは、テレビゲームではできない体験だと思います。

あと周りの環境やキャラクターの存在感は、うまく演出すれば簡単に脳が騙されてしまいますね。
扇風機で風を顔に当てたり、椅子が揺れたり、視覚・聴覚以外の演出をされるとリアル感が違うなと感じました。将来、プレイステーション対応VR扇風機なんてものが発売される日がくるかもしれませんね。


体験型エンターテイメントへの影響


VRでできること、できないこと、ARGなどの体験型エンターテイメントとの比較研究はこれからどんどんされていくと思います。VRなら、ARGと違ってどんな環境の中にもプレイヤーを放り込むことは可能ですし、デジタルキャラクターが最高のビジュアルで最高の演技を世界中のプレイヤーに対して演じてくれるのでしょうけど、触ることのできないそのVR世界の演出に対してやっぱりどこかで慣れやマンネリは出てくるような気はします。これはどんなジャンルについても言えることだとは思います。

ただ、ARGとVRの組み合わせというようなハイブリッドなことをやられると、もうプレイヤーは完全に現実を見失う体験ができてしまうのではないかなと思いました。花沢健吾のルサンチマンの世界ですよね。
家庭用VRで、毎夜架空の電脳都市にダイブインして、世界の秘密の鍵を握る謎を追う…というような生活を送りたいです。

これからどんなVRゲームが登場するのか、本当に楽しみです。

(文章:H.M.)


関連リンク

2016年6月13日

Twtterラウンドテーブル『現実とゲームの境界線』まとめ

(この記事は、えぴくすさん(@epi_x)に寄稿していただきました)

6月4日(土)の夜に、約2時間にわたり、  『現実とゲームの境界線』 と題した Twitter ラウンドテーブルが行われました。SIG-ARG としては久々の Twitter 上でのイベントだったにも関わらず、大勢の方にご参加いただきました。ディスカッションに参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

詳細につきましては、Togetterのまとめをご覧いただくのが一番ですが、当日はモデレータの私がツイートの雪崩に飲み込まれておりまして、きちんと拾い切れていなかった論点もございましたので、改めて、いただいたご意見を私なりにまとめさせていただければと思います。ご意見や異論などがございましたら #SIGARG までお寄せくださいませ。

はじめに


今回のテーマ「現実とゲームの境界線」は、5/31の夜に起こった2つの出来事を受けてのものでした。

1件目の出来事がこちら: 『#クロちゃん救出 ツイッターだけで誘拐場所を探しだせ!→特定班の活躍で警察沙汰に→企画中止へ

そして、奇しくも同じ晩に起こった2件目の出来事がこちら: 『「ライターと連絡が取れない」とする架空の捜索記事でインサイドが謝罪 ステマではないかとの疑惑に「広告の出稿はない」と編集長明言

この記事では、これら2つの事案を「救出企画」と「失踪記事」と呼ぶことにします。

「救出企画」は間違った住所が共有され、そこに参加者が集まってしまったため警察沙汰となりました。

「失踪記事」はTwitter上で善意の拡散が行われたあとで、それが嘘であったことが分かり、炎上しました。

ラウンドテーブルでは議論を膨らませるために2件を並行して扱っていましたが、改めて1件ずつ整理していきましょう。

2016年6月8日

【ミニニュース】H.I.Sの子ども向け海外旅行ARG『トラベルヒーローズ』



旅行会社のH.I.Sはこの夏、家族での海外旅行に向けて子どもが冒険感覚で楽しめるARG『トラベルヒーローズ』を展開するとのこと。

スマホ専用アプリで「飛行機の中では騒がない」「好き嫌いせずにご飯を食べる」など様々なミッションを子どもと設定。そのミッションの達成度を採点し、採点された達成度に応じてアプリ内でメダルが与えられ、メダルを集めることによって、ヒーローランクが上昇する家族で楽しむゲームだそうです。



また、アプリと連動する「トラベルヒーローズバッジ」にはBluetoothが内蔵されており、専用アプリと連動させると、スマートフォンから一定の距離を離れた際にアラート通知が表示される「迷子防止機能」が付いています。これはゲームと関係なくかなり便利かも!

プレスリリースやムービーを見ると、ジェイン・マクゴニガルが提唱する『スーパーベター』に近い雰囲気を感じますね。
この手のゲームは子どもがうまく夢中になれるミッションを提示できるかが大きな鍵になるのですが、そのあたりの出来に注目したいところです。

できれば筆者(石川)も試してみたいところなのですが、残念ながら小さな子どももいなければ、この夏海外に行く予定もありません(泣)
どなたか、ぜひチャレンジしてレポートをお願いします!

関連リンク


2016年6月2日

緊急Twitterラウンドテーブル『現実とゲームの境界線』 6/4夜開催

6/4(土) 22:00より2時間程度の予定で、#SIGARG のハッシュタグで久々にTwitterラウンドテーブルを行います。
テーマは「現実とゲームの境界線」

5/31の夜に起こったARG的手法の2つの案件は、いずれも中止に追い込まれました。
そこには、現実世界を使うことや、現実とフィクションの境界を曖昧にすることについての見通しや注意が不足していたように感じられます。

一方でそういった問題に意識を払いつつイベントとの両立に成功しているARGもたくさんあり、ARG的な手法そのものが問題ではないというのも事実です。
何がトラブルの根幹だったのか、我々は何に気をつけていけば良いのか、Twitterで議論しましょう。

Twitter ラウンドテーブルへの参加は、時間に合わせて、 #SIGARG を付けて Twitter につぶやいていただくだけで OK。どなたでも自由にご参加いただけますし、途中参加も寝落ちも全く問題ありません。お気軽にご参加くださいませ。


関連リンク
  • 企業の公式サイトが、架空の行方不明者捜索で宣伝行為を行う(togetter)
    http://togetter.com/li/981995
  • #クロちゃん救出 ツイッターだけで誘拐場所を探しだせ!→特定班の活躍で警察沙汰に→企画中止へ(togetter)
    http://togetter.com/li/981788

2016年5月17日

ARGのNetflix化を目指す! ~ゲーム小説『お前らは現実とゲームの区別がつかない』著者インタビュー~

澤田 典宏さんといえば、『ぼくらの選択』をはじめとしたARG制作や、ARG考察サイト『だいたい現実』の運営などで日本のARG界に大きな影響を及ぼしている一人です。

その澤田さんが小説『お前らは現実とゲームの区別がつかない』を5/25に出版すると聞いて、とうぜん普通の小説など出すはずもないと期待したものの、公式サイトや紹介記事を見ても、今ひとつどんなものなのか分からない。

じゃあ、本人に直接聞いてしまえ!とばかりにお願いしたのがこのインタビュー。もちろん『ARG情報局』ですので、その方向からのディープなお話をたっぷりお届けします!(インタビューアー:石川淳一)


──まずはこの企画の経緯を聞かせてもらえますか? これって澤田さんが旗振り役で始めた企画なのでしょうか?

澤田 元々は編集者である飯田一史さんを介してのお話でした。飯田さんというのは『ウェブ小説の衝撃』などを書かれている著作家でもあります。
飯田さんとは、その前に一迅社様の雑誌(Febri Vol.27 体験型謎解き/脱出ゲーム特集)で謎解きゲームやARGについて話していたこともあり、企画としては最初から「小説(ラノベ)がなんらかの形でアプリと関係している」ものでした。



──じゃあ、編集サイドからある程度イメージがあったのですね。

澤田 そうですね。出版社(ジュリアンパブリッシング様)側は新規でラノベを発売して市場を開拓したいという考えがあり、そこに編集者である飯田さんがラフな企画アイデアを投げ、並行して僕にお話が来たという形です。

──なるほど。小説+アプリという組み合わせに注目した理由は何だったのでしょうか?

澤田 出版社側の意図は普通に小説を出すよりも幅広い展開が考えられるといったところかと思います。
僕としては「ひとりでも遊べるARGを作る」とか「ARGとして独自のコンテンツを作る」といった考えがまずあり、それに対して小説とアプリの組み合わせの相性が良いと考えていました。
じっくり行間を読む本という比較的、個で楽しむメディアと、アプリというこれまた自分のペースで遊ぶことが前提のメディアの相性とでもいえばいいでしょうか。
ARG情報局向けにマニアックなことをいえば、「The Beast」「 A.I」「I love Bees」といったARGの開発に関わったゲームデザイナーのジョーダン・ワイズマンも、一連のARGを作ったあとに『キャシーの日記』というARG小説をシリーズで出版しましたが、それと同じような模索をしているともいえます。

──ちょうどARGという言葉が出てきましたが、澤田さんがやるとなるとやはりARG的な要素がどのくらいあるのかとても気になるのですが、そのあたりはどうでしょうか?

澤田 先ほども少し触れましたが、目標としたコンセプトは「ひとりで遊べて、しかもリアルタイムでイベントを追わなくても楽しめる新しいARGの形」ですので、いわゆるARG的な要素は可能なかぎり盛り込んでいます。
公開されているためし読みの範囲に限っても、すでに現実に存在しているものはいくつかありますよ。



──いま先行公開されている小説はリアルタイムにARG的な話が進んでますよね。ところがさきほど「リアルタイムで追わなくても遊べる」とおっしゃったのですが、読者は出版と同時にリアルタイムで参加するようなARGではないということですか?

澤田 出版と同時にゲームに参加していただければ、話題に乗ることもできるので従来のARG的な楽しみ方ができます。ですが、話題に乗り遅れたからとか、他人のゲームを攻略するスピードについていけないからといって、ゲームを楽しめないつくりにはしていません。
この点についてですが、これまでのプロモーション系ARGでは、プレイヤーに一定期間内にゴールまで完走してもらうことが大前提だったので、運営(パペットマスター)からの誘導も含め、いろいろとユーザーに親切だったと思います。
しかし、今回はオリジナルコンテンツとして独立しているので、そういった縛りを気にせずに小説を起点とした世界の断片を現実にまき散らすだけまき散らして、みなさんに自由に探したり、勝手に妄想したりすることを楽しんでもらおうと思っています。

──完走してもらう必要がないというのはゴールをARGとしては特に作らずに、世界観とかいろんな仕掛けを楽しんでもらうような?

澤田 小説の中にゴールはひとつありますので、そのゴール以外のゴールを探してもらえればと思っています。プロモーション系ARGでは、最後のオチが「映画の予告編的に物が欲しくなる(買いたい / 見たい)」ことが多いのですが、今回は小説を買っていただいた(読んでいただいた)前提なので、「もう一度、読み返したくなる」系とでもいえばいいですかね。

──あと、特徴的なところはさきほど話のあったアプリ『LIVE SCOPAR』との組み合わせなのですが、具体的にはどのような使われ方をするのでしょうか?



澤田 出版に合わせてメニューが追加され、小説の中と同じ操作をすることで、機能的に若干の違いはありますが、アルティメット・ミッションという謎解き(?)ゲームに参加することができます。もっとも出題されるミッション(問題)は、小説とまったく同じものではなく解き方のパターンが似ているなど、小説とは関係なく(純粋に謎解きの問題として)楽しめるようになっています。
問題の内容については、問題が提示されて正答をするようないわゆる謎解き形式のものから、暗号文を解いたり、ある人物を探るようなARG的なものまで、いろいろと考えています。まだ調整もしています(笑)

──ああ、アルティミットミッションに小説と同じような流れで参加できるけど、問題そのものはアプリオリジナルという感じなのですね。

澤田 そうです。同じものが出てくるかもしれませんが、それだけではありません。

──ゴール以外のゴールを探すことが一つのARGになっている?

澤田 小説では語られていない部分をゲームを通じて知ったり、小説に描写はあるけれど普通は見落とすようなものにゲームから気づかされたり、逆にゲームから得たわけのわからない情報が小説のある場面につながったりといった感じで、小説をアプリが補完したり、アプリが小説の1文に急に意味を持たせたりするような多重構造を楽しんでいただければと思います。様々なものが互いに侵食し合うことこそがARGの醍醐味かと。

──澤田さんが書くだけあって、かなりの重層構造が期待できそうですね。

澤田 先ほどのアプリの問題に話が繋がるのですが、つまり「謎解き的な問題もあるけれど、その端々には小説との絡みを連想させられるような情報があります」ということですね。その情報をさらに追うのか、もしくは追うことになるのかは、みなさん次第ですが。

──なるほど。単に解くのではなく、問題すらも世界に巻き込んでいく感じですね。

澤田 小説に出てくるさまざまな情報の断片(アカウントだったり、URLだったり)を、自分で探してみる→そのアカウントなりが実在するといった楽しみから始まり、もしかして小説内の他のアカウントやURLも実在するのでは→探してみたらあった、まさか明示されていないものもあるのでは→探してみたら……といった構造や、そこには小説内で主人公が見落としていた情報があり、そこから……といった展開を楽しんでいただければと。

──ああ、そういう広がり感、大好きです(笑)
ちなみに、ネタバレになるかもしれませんが、小説やアプリ以外にも使うメディアや現実空間はけっこう多岐にわたる感じなんでしょうか?

澤田 メディアや現実空間については、ARGのお約束でもありますのでクロスメディア的に使います(もう使っていますし)。多岐になるかは秘密です(笑)

──やっぱり秘密ですか(笑) ちなみに、ARGというより、メディア展開として小説やアプリ以外も考えられているのでしょうか?もしくはプロモーション的に何か考えられているとか。

澤田 小説やアプリ以外の展開、プロモーションとしての展開については、まだ調整中です。リアルイベントも考えてはみたのですが、そもそものコンセプトが「ひとりでリアルタイムでなくても楽しめる」だったので、まあ、おまけ的にご縁があればやろうかな程度です。
ひとまずは小説とアプリ、そしてそこから広がる代替現実世界で楽しんでいただければと思います。

──ちなみにターゲット層とかはどのあたりをイメージされているのでしょうか?

澤田 基本は中高生ですね。

──ほう。その層って謎解きゲームは知っていても、ARGはまったく知らないと思うのですが、そのあたりに対して何か意識的にやっていることってあります?

澤田 ARGという言葉は使っていませんね(笑)
あとは問題を解く体験をしていただけるように具体的な思考や手順の描写をしたり、謎解きやARGで使われる専門用語についても、できるかぎり解説しています。

──なるほど。小説と謎解きという切り口で取り込みつつ、ARG的な楽しみを見つけてもらうみたいな感じですかね。

澤田 そうですね。ARG情報局でのインタビューということで、ARGという言葉を使って説明していますし、僕のコンセプトも「ひとりで遊べるリアルタイムじゃないARG」なのですが、それを読者に強要するつもりはないです。楽しかったなー、なんだこれ→ARGってのがあるのかぐらいの理解が得られればいいんじゃないでしょうか。

──それはとても大切ですね。
ARG原理主義的になって楽しめなかったら意味がないですし。

澤田 制作者しては、わりと原理主義に沿っているつもりなのですが、それをどうかみ砕いて楽しんでもらえるようにするかという点で「次のARGの形を目指した」つもりです。パソコン版大戦略に対するファミコンウォーズみたいな(笑)

──なるほど(笑)

澤田 ストイックなSEGAのアドバンスド大戦略にはいかない。個人的には、あれはあれで大好きですが(笑) そんな感じで軟派なようで実は硬派なARGです。

──ああ、それは分かりやすい例えですね。(笑)
では、「次のARGの形」として、ここは日本どころか世界初だろう、みたいな試みはありますか?これもネタバレになっちゃうかな?



澤田 これまでのARG的な小説のほとんどが、小説の書き手と謎やWeb上の仕掛けの制作者が分離していたり、海外の小説を翻訳する際にばっさりと周辺情報が切り落とされた結果、満足な情報がないまま、連動している形になっていましたが、今回はそれはないですね。小説の書き手が、そのままARGやアプリの中身や、そこから得られる全部の情報まで作っているのは、あまりないんじゃないかと思います。

──なるほど。たしかに澤田さん自身が書いているのだから、これほど強い方法はないですね(笑)。

澤田 次のARGの形という点では、最初の話題の繰り返しになりますが「小説の登場人物と同じ秘密を自分が追求できる」ARGの形を取りながら「リアルタイムで追いかける時間を気にしなくていい」のは大きいですね。僕の中ではARGのNetflix化と呼んでいますが。

──Netflix化ですか!(笑)

澤田 別にHuluでもいいんですけどね(笑)
実はARGをアプリでやるっていうのは、もう3年ぐらい前からいっていたんですよね。ついでにNetflix化というか、リアルタイム参加を切り捨てる必要性も同じ時期ぐらいからいっています。ARG的なもののアプリ化については、最近なぞともさんが始めましたが、コンセプト的なものは昔からあったんです。
でも、何年経っても誰も作りそうにないから作ろうかなあ、という感じで作り始めました。

──アプリでのARGとか謎解き方向って、どうしてもアプリがメインになっているのが逆に限界を感じるときもあるので、今回の澤田さんのアプローチ方法には注目しています。

澤田 ありがとうございます。謎解き的な問題を中心にアプリを作ってしまうと、どうしても物語的な体験の下地となる要素(プレイヤーとの世界観の共有)が弱くなります。既存のコンテンツ(アニメやゲーム、映画など)に頼れば、世界観を共有する手間は減りますが、それではオリジナルのARGにはならない。じゃあ、世界観も物語もアプリも、全部作ればいいんじゃね、という強引なアプローチだからこそできるものがあると思います。

──ちなみに、執筆ってどのくらいかかりました?

澤田 執筆にかかった時間は、なんだかんだで一年ちょっとになりますね。実際のところは、もっと早く出るはずだったのですが、本業でもいろいろと忙しい時期がありまして……(出版日の変遷をネットで検索してはいけません)

──では、最後に『ARG情報局』の読者にメッセージをお願いします。

澤田 そうですね。『ARG情報局』を通じて初めてARGに触れる人も多いと思いますので、そういった方がこの小説を楽しんでいただく方法として「小説に出てくるものは、まずネットや現実で探してみる」ことをぜひやってもらいたいですね。



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