ARG(代替現実ゲーム)とは?

  1. ARG ってなんだろう?という方へ
  2. ARG の可能性に興味がある方へ
  3. さらに詳しく知りたい方へ
  4. ARG制作を行っている国内の組織・団体
  5. さらなる情報源

ARG ってなんだろう?という方へ


ARG は Alternate Reality Game の略で、日本語では「代替現実ゲーム」と訳されることが多いようです。訳語からはあまりピンと来ませんね。

欧米では大規模な事例も多く実施されている ARG ですが、立場によって、いろいろな捉え方があるようです:
  • 現実世界を舞台に、数百人〜数百万人規模でプレイするアドベンチャーゲーム
  • 能動的な物語体験で口コミ効果を高めた、新しいバイラルキャンペーン手法
  • とにかくみんなで盛り上がって楽しい謎解きのお祭り
  • フェイクドキュメンタリー(事実っぽく撮った創作)+観客参加
  • 作品世界の住人として推理に参加できる、ミステリー/サスペンス ドラマ
  • 現実世界をより幸せに変革していくパワーを秘めた現実ハック法

このように多様な側面を持つ ARG の一番の特徴、それは「日常空間と物語空間が交差すること」。例えば、日常生活と地続きに、こんな体験ができるのが ARG です:

  • 普段の生活をしているあなたの前に、ちょっとした「不思議」の穴が開いています。それは、動画サイトに上がった謎めいたムービーだったり、あるいは馴染みのサイトに掲載されたおかしな記事だったりするでしょう。
  • その「不思議」にあなたが気づいて、検索してみたとします。その瞬間、あなたはゲームの参加者の一人となるのです。
  • 広大なインターネット空間に隠された情報を少しずつ集め、組み立てていくと、裏に流れる大きな物語が見えてきます。
  • やがて、物語の登場人物と交流を持つこともあるでしょう。キーアイテムを現実の街で捜すことだってあるかもしれません。大きな謎に、他の参加者と協力して立ち向かうこともあります。
  • そして、そこで活躍するのは、コントローラで操作された主人公ではなく、あなた自身なのです!

どうでしょう?
ドキドキ、ワクワクを感じたのでしたら、あなたは ARG プレイヤーの素質アリ、です!

ARG の魅力

ARG の魅力」ページより、いくつか実際の事例から、ARG の魅力的なポイントをご紹介します。
現実と電話とネットと
サイト上で発見した日時と GPS 座標のリストは、全米各地の公衆電話を示していた! 指定日時にその公衆電話へ行ってみると、突然電話が鳴り出す。おそるおそる出ると、電話の相手は宇宙船の AI であった。電話に出ることで Web 上でオーディオドラマが進展し、時にはプレイヤーと AI(を演じる役者)との会話も公開された。
I Love Bees での事例
現実と虚構が混じりあう楽しさ
坂本竜馬を暗殺した謎の組織に連なるものは誰か!? プレイヤーの前に示されたのは、教科書にも載っている民選議院設立建白書。この署名に名を連ねている人々は、果たして、謎の組織か、その敵か?! 史料とフィクションが混ざる中、あったかもしれない歴史の裏側を追体験する。
RYOMA the Secret Story での事例
キーアイテムを現実世界で探し回る楽しさ
古の測距法 Omphalos Code が指す距離と方角に従い、地図上にラビリンスを描くと、その中心は東京、神楽坂だった! 神楽坂周辺の画廊を探索するプレイヤー達は、ついに、五大陸に散らばる5つのリングの一つを発見する! 第一発見者は一抱えもある金属製リングを自宅に持ち帰ることに。
The Lost Ring での事例
仕掛けが満載のWebサイト
http://interdimensionalgames.com/ を訪れると、最初は人工衛星の情報ページと思えるサイト(英語)が開く。しかし、しばらく待つと画面内で日食がおき、次元を越える扉が現れる……。異次元から送られてきた5本の映像をヒントに、Web サイトに隠された謎の調査が始まる。
iDGi-1 での事例

ARG の楽しみ方


【1. みんなで協力しよう!】多くのARGは、皆でわいわい議論しながら協力して謎を解いていくようになっています。全国各地に何かが隠されているときは、手分けして探しにいきましょう! 【2. 代替現実感を楽しもう!】あなたもARGの物語の登場人物の一人です。「ゲーム内 (In Game)」とされている場では物語の登場人物として振る舞ってください。「このゲームは〜だ」的な議論は、「ゲーム外 (Out of Game)」でしましょう。

公式のフォーラム(掲示板)など、登場人物が書き込む場は「ゲーム内 (In Game)」と考えて間違いありません。しかし、In Game の場しかないと、隠れて共謀して行うアクションの相談ができませんので、長期間の ARG では、「ゲーム外 (Out of Game)」の相談場所をプレイヤーが作ることもしばしばあります。海外では unforum という定番の場がありますが、国内ではゲームごとにプレイヤー同士で相談ですね。

ゲームの進行状況をまとめる「まとめサイト」は、登場人物に知らせたくないことまでまとまっていることが多いため、暗黙の内に「ゲーム外 (Out of Game)」として扱われます。

ARG の楽しさのポイント



ARG の楽しさは、この図に出ている「能動的な体験」「日常空間」「ナゾ解き」「お祭り」などのキーワードがポイントです。(もっと詳細な分析は『体験型エンタテインメントの要素と「ARG」の定義』を参照)

ぜひ、ARG がもたらす、自分で能動的に動いて体験する「生きた物語」を体験してください!

実際に遊んでみたい!

実施中のおすすめ ARG Pick Up! のページを参考にしてください。きっと、自分にあった ARG や体験型エンタテインメントが見つかるはずです!






ARG の可能性に興味がある方へ


エキサイティングな体験を生み出す ARG は、それ自体が新しいエンターテインメントコンテンツであると同時に、プロモーション手段としても有効です。欧米では、映画やテレビドラマの世界観を伝えるプロモーション手法として定着している他、ブランディングにも用いられるようになってきています。

いくつか、海外の ARG 事例のムービーを貼ってみます。英語が聞き取れなくても、プレイヤーが楽しんでいる雰囲気や、いくつもの媒体を使ってリアリティを出している様子は分かるのではないでしょうか。

まず、バットマンの映画「ダークナイト」のプロモーション ARG「Why So Serious?」です。制作会社の 42 Entertainment は、この ARG で1000万人以上の参加者を得て、2009年のカンヌ国際広告祭のサイバー部門のグランプリを獲得しています。

Microsoft のゲーム「Halo2」のプロモーションの一環として 2004 年に行われた「I Love Bees」は、公衆電話に電話がかかってくるというギミックで、プレイヤーを熱狂させました。

CISCO のオンライン展示会 GSX に向けて制作された ARG「The Hunt」です。前年の「The Threshold」に続き、CISCO 製品の紹介も織り交ぜた ARG だったようです。


最新動向

最新の海外 ARG の動向は、「海外ARG 2010年 総まとめ」でご紹介しています。

日本では、ストーリーがある長期間の ARG の実施例は、極めて少ないのが現状です。ARG だけでなく、もう少し広い範囲での体験型エンタテインメントのまとめとしては、「体験型エンタテインメント 2010年 総まとめ」をご覧ください。

よくある間違い

よく間違えられるのですが、ARG はAR技術を使ったゲームのことではありません。カメラを使って何かを合成する AR 技術は Augmented Reality (拡張現実) の略で、ARG は Alternate Reality Game の頭文字です。

また、日本のプレスリリースではしばしば Alternative Reality Game と書かれてしまうこともありますが、Alternate のほうが一般的のようです。alternative は、もう一つの、という意味ですから、現実とは違う、という意味合いになってしまいます。alternate reality だと、現実世界と物語世界を行ったり来たりするというニュアンスが出るのですね。






さらに詳しく知りたい方へ


講演動画

SIG-ARG第1回セミナー「ARG入門:体験型エンタテインメントの現在と未来」の中で行われた慶応義塾大学教授の武山政直氏による講演「ARG概論」の動画を公開しています。豊富な事例紹介を織り交ぜたとても分かりやすい解説です。


また、第3回セミナー「日本ARGの今とこれから」から元気株式会社の澤田典宏氏による元気ARG事例紹介の動画もご紹介いたします。エンタテインメントコンテンツとしてARGを捉える立場からのご講演で、日本でまだ実施数が少ない長期型ARGの事例紹介と共に、ビデオゲームのデベロッパである元気が、なぜまだ黎明期にある日本のARGに取り組み始め、ARGの今後の展望をどう考えているのかについても述べられている興味深い内容となっています。



典型的な ARG

ARG ファンは典型的な ARG とは以下のような要素を持った娯楽だと認識しています。

・参加者の行動に応じて変化するリアルタイムでインタラクティブな物語
・ゲームであることを明言せず、従ってルールやゲームの範囲も提示しない
・何かになりきる必要はなく、現実世界に生きている自分自身のまま参加する
・物語の舞台として実世界とインターネット・電話・手紙など複数の媒体を利用する
・登場人物は人間が操作しており、参加者の行動に柔軟に対応する
・謎解きやミッションなどが与えられ、それを解決することで物語が進んでいく
・参加者の活発なコミュニティがあり、そこで共に悩みながら問題を解決していく
・何らかのプロモーションを目的とした参加無料の広告型ARGも多い
・書籍やカードを中心とした商品型ARGも存在する

こうした典型的な ARG の事例としては、前述した「I Love Bees」や「Why So Serious?」などが有名です。

日本でも開催された典型的な ARG としては、2008年に「The Lost Ring」が、2009年に「RYOMA the Secret Story」が開催されています。

ARG の定義?

上記で列挙した要素は、あくまでもトラディショナルな ARG の持つ要素というだけでしかありません。

ARG のきちんとした定義は未だになく、各人が「これは ARG だ」と思ったものを ARG と呼んでいるというのが実情です。

ARG はもっと多くの可能性を秘めた新しいエンタテインメントの姿だと SIG-ARG では考えています。実際に、典型例とは少し違うカタチであるものの、ARG 的な要素を持った魅力的な企画が、日本においてもここ数年で増えてきています。

SIG-ARG では、最初に ARG の定義を定めてしまうことをしません。SIG-ARG の活動を通じて、ARG の定義を探っていくということも、目標のひとつと考えています。

ちなみに、現在の SIG-ARG 運営メンバー内での議論では、以下の要素が ARG らしさを感じる1つの重要な要素ではないかという案が出ています。

日常の感覚を引きずりながらプレイすること」

ぜひ、皆さんのご意見もお聞かせください。




ARG制作を行っている国内の組織・団体


ARG と自覚しているコンテンツの制作実績があるか、ARG 事業開始のニュースリリースを公開している国内の組織・団体の一覧です。大まかに、制作開始/受注開始順です。


実制作も含めた ARG の研究を行っている(いた)研究室は以下の通りです。





さらなる情報源


ARG の解説は、英語版 Wikipedia の Alternate reality game の項目にて、お腹が一杯になるほど詳細に記載されていますので、さらに深く知りたい方はチャレンジしてみてください。

また、海外の最新情報は ARGNet が確実な情報源です。