2010年1月2日

インディーARG 「AI/HA」 を振り返る

「AI/HA」は、日本で企画されたインディペンデントのARGです。まだ日本でARGが余り知られていない、2005年という早い時期に開催されました。

その「AI/HA」を企画者のがすけつさんが自ら振り返った文章が、2010年の正月に twitter で公開されました。The Beast や I Love Bees の影響を受け、日本で最初に行われた自覚的な ARG の様子を残す、貴重な資料となっています。

がすけつさんは、「あんたがた」の企画者の「あめちゃん」としても知られている、元ゲーム雑誌ライターで面白いことが大好きな方です。

同時に再公開された、ゲーム中に集めた情報の断片が最後にまとまっていく様を描いた AI/HA エンディング映像 も、見応えたっぷりです。こういうノリこそ、ARG!という感じがしますね。



記事元
AI/HA 公式サイト
AI/HA 公式ブログ
AI/HA エンディング映像
togetter による AI/HA まとめ発言のまとめ
プレイヤーによるまとめサイト: AI/HA collection
プレイヤーによるまとめサイト: AI/HA 歴史館


記録のために、twitter の投稿から、文章を抜き出したものを置いておきます。

明けましておめでとうございます。AI/HAのED再公開です。
特定の場所になにかがあり、そこに行くことによって何かが進む。そういうデザインに特化して、ストーリー要素を廃し、それでも「場所」の特定に謎解きを加え、その謎は全国どこからでも引き出せる。いつでも参加でき、いつでも離脱できる。それが「あんたがた」の基本デザインです。
謎が解けると、特定の場所が示される。そこに行くことができ、かつ、その場所にあるパスワードを入手できる人、それが「勇者」と呼ばれるようになりました。その過程の中で「俺も勇者になりたい」「近所にあったなら今すぐ行くのに」という意見がちらほらありました。
僕としては「あんたがた」にストーリー要素を加えたものを作って、「the beast」や「i love bees」に似たものを作りたかった。そこで「勇者」要素をすべてのプレーヤーに配信してはどうだろうかと。それを近隣同士で結合することでストーリーを進ませる。
8桁のパスワードがあります。12345678。これを3つずつ分割する。すなわち、1234、3456、5678。最終的な目標の画像があるので、結合順を間違えないように2桁ずつ重複させる。ところが。
勇者になりたい人があれほどいたのに、たくさんの勇者のうちの1/500となると、動かなくてもどうにかなるか、という思いが働いたのか、いや、今となってはわからないけれど、とにかくその結合が一切進まなかった。全員を勇者にしてはいけなかった。能動的に動くのは全体の二割。
結局、ストーリーは遅遅として進まないまま、時間だけが進んだ。
ストーリーはこうです、あるスパイボット、言い換えればAI。それが自己の意思のまま、シーランド公国のデータセンターに潜入した。けれども、そのままセキュリティの裏側に閉じ込められてしまった。「彼女」は自分の居場所を発信して、そこから救い出して欲しかった。
プロジェクトにメールアドレスを登録してくれた500人の「プレーヤー」に、自分の居場所に関するヒント、すなわち150を越えるパスワードの断片「フラグメント」を送信した。追跡者にバレないように。彼女のデータはすべて一意な状態で500個が用意され、500人に送信された。
そのbotを仕込んだ人間か、そうでないかは解らない、彼女からのSOSをいちはやく受信した5人のメンバーが立ち上がった。500人の「プレーヤー」を集め、補佐し、「フラグメント」を結合するために。 http://geocities.yahoo.co.jp/gl/aiha_v2005
フラグメントが集まって、パスワードがひとつ結合するごとに、ブログがひとつアップデートされた。しかしその速度は遅遅として進まず。
実は彼らのリーダーが、自分の送り込んだAIの情報をどうにか引き出したいが、設計した本人が、そのパスコードをすべて自分のところに集めることが非常に困難であることをすでに理解していた。そのための「ゲーム」だった。
集められた500人の「プレーヤー」は、ただ単に「彼」に利用されていただけだった。「彼」は彼自身で集めた500のダミーアカウントによって「プレーヤー」よりも早く500の「フラグメント」を集めてしまった。
そのことを知った残るメンバーは、その痕跡を頼りに「最終」の「パスワード」を完成させ、シーランド公国のデータセンターに取り残された「彼女」であるところの「AI/HA」にアクセスした。
しかし、時はすでに遅く、「彼」が欲していたデータは全て引き上げられ、そして「削除」され、そこに残っていたのは、彼女が自分の意思で集めた過程で残された「残滓」であった。
そして、取り残された「プレーヤー」たちが見たものは、この映像だった。 http://www.geocities.jp/an_naka_haruna/aiha2010

(追記:2010/1/6)
突然ですが元旦に言っていたAI/HAの設計図を公開します http://spreadsheets.google.com/pub?key=t9UiKn3ull-LzbEWyy71ltA&output=html
実はAI/HAのメインキャラクターは戦隊モノをちょっと意識していて、5色が名前になっていました
REDは赤星新人(あかほし・にーと)という名前で、vipperっぽいキャラクター。
元旦の訂正。パスワードは9桁で、123456789=123+345+567+789の4つのフラグメントに分けて配布された。パスワードは64個x4分割=256個のフラグメント。ロストを見越してある程度重複して配布したようなそうでないような
ひとつのパスワードが結合完了するたびにブログが更新され、イラストの一部が送信された。15ゲームのように並べていくと一枚のイラストが完成する。 http://twitpic.com/wvtxv
熱心なプレーヤーたちはそれぞれに工夫を凝らしてゲームを楽しんでいた。 http://twitpic.com/wvubv
http://twitpic.com/wvuit - こんなのとか。
途中、あまりにも結合が進まないためにテコ入れとして大阪で鬼ごっこイベントを開催。テキストにあるとおりの道順を進み、捕獲者にフラグメント保管カードをプレゼントした。 http://bit.ly/6eu7Dn
http://twitpic.com/wvv6w - 補完カード。
鬼ごっこは写メールをもとに移動経路をつきとめるというもの。2人x2チームで大阪市中央区のマクドナルドを南から北へ徒歩で移動した。
http://twitpic.com/wvvbp - 途中で最初のイメージイラストの中の人が音信不通になってしまったので、チバトシロヲさんにバージョン2を描いてもらった。
http://twitpic.com/wvvug - ドリマガ時代に同じライタールームで記事を書いていたイラストレーターの中村るーしあ君に描いてもらったメインキャラクター5人のイメージイラスト
http://twitpic.com/wvw4j - 黄色は大食いでなぞなぞが好き。黄色が食べたモノの写真とかネタを色々仕込んだ。
RT @sagyoufuku: そういえばフラグと一緒にノートを送り出したのを思い出した。途中でどこか逝ったみたいだがw  RT 熱心なプレーヤーたちはそれぞれに工夫を凝らしてゲームを楽しんでいた。 http://twitpic.com/wvubv
いま資料をサルベージしていたら、プレーヤーがテーマソング作ってアップロードしてくれたやつがでてきたけど黒歴史だろうから見なかったことにした
と、まあ、そんなこんなで結局全てのパスワードの結合は果たされなかった。「彼女」の持っていた「重要」なデータは引き上げられてしまったか、もともとそんなものはもっていなかったか。今となってはそれはわからない。
「彼女」の名前はAI/HA、Artificial Intelligence / Hacking Agent。「彼女」は今もネットの海のどこかを漂っている。
今日のところは以上です。また何か思い出したらつぶやきます

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