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2019年6月21日

1億円宝探し Satoshi's Treasure の開始2ヶ月目プレイレポート


開始時にも記事にした 賞金100万ドルの宝探し Satoshi's Treasure の開始から2ヶ月が経過しました。現状をまとめておきます。

簡単におさらいしますと、ビットコインの父と言われるサトシ・ナカモトの名を冠したこの宝探しゲームは、条件を満たした先着1名が100万ドル分のビットコインを入手できるというもの。(なお、ナカモト氏は身元不明のため、この宝探しの運営とは無関係と思われます)

その条件が少し特殊で、賞金の入ったビットコインウォレットの秘密鍵が、特別な方法で1000個の断片=keyに分割してあり、1000個のkeyのうち、最初に任意の400個を集めた人が、秘密鍵を復元することができる=賞金を手に入れられる、というものです。(鍵の復元方法は、数学の神秘により実現されています!)

本記事の後半では、未解決のkeyの解説も行なっていますので、腕に覚えのある方は、ぜひ挑戦してみてください!



現在のプレイヤーの空気感



6月21日現在、12個の clue(謎)が出題済み。いくつかの具体的な内容については後半にご紹介するとして、最初に、現在のプレイヤーの雰囲気について触れておきます。

ちょうど先週末、初期に結成された大手クランの一つであるマゼランクランの代表者が、賞金となる「100万ドル相当のビットコイン」の実在を運営が証明しない限り、クランを解散する、と声明を発表する事件がありました。それもそのはず、プレイヤーから見るといろいろと先行き不安な要素が積み重なっているのです。

一番大きいのは、400個のキーが集まらないと賞金をもらえないのに、2ヶ月で12個の clue しか出題されていないという事実です。1つの clue で複数の key を配布しようとした例もありますので、単純計算はできないのですが、この調子だと、400個の key が揃うまで5年くらいかかってしまいそうです。一度、clue の出題間隔を上げると運営が宣言したのですが、いろいろとあったようで、実現していません。

その他の不安要素は、プレイヤーの広がりの薄さです。公式サイトの更新お知らせメールマガジンへの登録者こそ、6万人など景気の良い数字が発表されていますが、実プレイヤー人数として見ると、1000人いないのではないかと感じるくらいの反応の薄さです。
実際、The Clan Key のミッションは、同じクラン(自主的に組織された一緒に謎解きしているグループ)に属している人が同じジェスチャーをして顔出し自撮り動画を上げる、という宝探し要素のまったくないものでしたが、全てのクランの動画を合わせても200人分程度しか動画がなかったように思われます。

また、今週は The Cult Keys として、マルチ商法的な、新規ユーザを勧誘すると自分と自分を勧誘した祖先にポイントが付く(毎月末締めで、ポイントが一番高かった人に key が渡される)というリクルーティングミッションが開始されるなど、その前の顔出し自撮り動画のミッションと合わせて、集客的な色の極めて強いミッションが続きました。
プレイ人数が伸び悩んでいることで、資金を集めることもできず、企画自体の存続が怪しくなっているのでは、という心配をプレイヤーがし始めるのには十分な状況です。

というところで、今後、運営側は、企画の存続性について、プレイヤーを十分に安心させることが重要になるのでは、と感じています。なにか効果的な手はうたれるのでしょうか。

これまで出題された clue の解説


難しい話はこのくらいにして、興味深いものも多い Satoshi's Treasure の clue のご紹介を簡単に。前回の記事では、The Leporine Key までご紹介しましたので、その続きから解説します。

The Hunted Key




The Hunted Key は、3人のエージェントの顔写真だけから、各エージェントを見つけ出して、各エージェントが欲しがっているアイテムを渡すことで、各 agent から key を貰えるというものでした。

結論から言いますと、Agent #1 は SNS 上で見つかり、接触に成功したものの、Agent #2 と #3 は結局見つけることができず、時間切れ。2人のエージェントが持っていた個別の key は回収となりました。

Agent #1 が指定した待ち合わせ場所はフランスでした。ただ、彼が必要としていたアイテムは山本弘先生のSF小説「アイの物語」。わざわざ日本語でタイトルが書かれていますので、日本版が無難ということで、各チーム、頑張って手配されたようです。

ちなみに、The Hunt Key は最初は先着1名というような公式の発言があったように記憶していますが、結局は指定した時間にアイの物語を渡してくれた人全員に key を配ったようです。(そうしないと現地で大変な混乱が予想された)

The Earth Key


未解決 key の一つ。解けたらヒーローです。

まず、最初に関係者の Eric 氏が唐突に音楽へのリンクをつぶやきます。


このリンク先の EARTHNET DEMO という曲、よく聞いていると、一部だけ数秒間、不思議なノイズが乗ります(注意深く聞いていないと気づかないかもしれません)。音声、ノイズ、というキーワードを得た瞬間に、おもむろにスペクトログラム(周波数解析図)を取るのが訓練されたプレイヤー。


取りました。100秒と230秒近辺になにか出てますね。
100秒のところはQRコードのようです。230秒は文章ですね。

ということで、ノイズが乗っているQRコードを頑張って復旧させると、パスフレーズ入力を求められるページに飛びますので、そこで2枚目の文章 "It is not necessary 2 understand music, it is only necessary that 1 enjoy it." をパスフレーズとして入力すれば、次のステップに進めたのでした。

そして、次のステップとして出てきたのが、こちらのマトリョーシカのBMP画像。
おそらく、このノイズ化されたデータを復号できれば、The Earth Key を入手できるのだと思われますが、今のところ、成功したチームはいないようです。

フレーバーテキストで、chaotic field と呼ばれていることから調査を進めた人々が、カオス理論を使ったいくつかの画像暗号化手法の論文が見つけており、もしや、論文から実装を起こして適用するのでは、というところで止まっています。。。

The Audubon Key


未だに解かれていない key その2です。

出題テキスト(和訳)では、物語調の語り口で、謎の16進数がたくさん出てくるのですが、もう一つ、青い鳥が出てきます。Twitter の暗喩です。

ということで、やるべきことは、まず、16進数の法則を見つけることでした。ここは解き筋がきちんとある良い問題でした。

出題文の最初に出てきた、7C2BAC1D は検索すると、bitcoin の blockchain の genesis block と呼ばれる一番大本の block の nonce であることがすぐに分かります。どうやら、bitcoin の nonce が関係しているっぽいぞ、とわかります。

次に出てきた 1CC28A903 は16進数として桁が1つ多いようです。いくつかの可能性がありますが、bitcoin の blockchain をたどり、2番目の block の nonce で試しに割ってみましょう。すると、ちょうど割り切れて3となります。

この調子で、問題文で次に出てきた16進数を次の block の nonce で割る、ということを繰り返すと、1, 3, 7, 12, 18 という数列が出てきます。ここまでくれば、どんな数列かわかりますよね。そう、Hofstadter Figure-Figure sequence でした!(ググったらでてきます)

ということで、nonce と数列を並べて、掛け算した結果を表にしたものがこちらとなります。さて、あとは青い鳥の伏線を回収しましょう。この掛け合わせた結果の16進数をハッシュタグにして Twitter でつぶやいているアカウントを見つけることができました(togetterでの一覧)。彼らのアイコンはパズルのピースになっているようです。



おわかりになりますでしょうか。実は、復元した缶のパッケージ画像の横や下に薄っすらとモールス信号が書かれているのが。このモールス信号を複合すると、次のステップのURLが出てきます。

しかし、このページのパスフレーズがわからないまま、今に至っているのが現状です。

おそらく、缶に書かれているいろいろな意匠が、パスフレーズのヒントとなっていると思われるのですが……。

The Aesop Key


解けない暗号が続きましたが、その次の Aesop Key はまた面白い謎で、こちらは key が発見済み。公式サイトでも found という表記になっています。


出題はこの画像1枚。この絵のタイトルである festina lente が真ん中のコードだろうという仮定から、カラーコードを解読していくこともできますが、このカラーコードの暗号は80年代にニュー・オーダーのアルバムジャケットに使われていたコードであることに気づくと、すぐに解けました。


一意に決まらないコード体系でありますが、klue2key@gmail.com が一番確からしい解読結果となりますので、ここにメールを送ってみます。

しかし、Mail Delivery Subsystem _ から、いつも見る、存在しないアドレスに送信したことによるエラーメッセージが送り返されてしまいます。


これ以降は、皆さんの楽しみにとっておきましょう。次のステップの URL とそのページで入力すべきパスフレーズが判明すれば、key を入手することができます。

The Room Key


The Room Key は、上海のアートスペースで行われている展示会のパンフレット画像だけが貼られるという不思議な clue でした。実際に現地に行ってくださった方もいるのですが、何も違和感のあるものはなかったとのこと。いつの間にか found 表記になっていましたので、どなたかが何かを見つけたのでしょう。詳細は不明です。

The Global Key


広報系のミッションを飛ばして、最新の clue がこちら。簡単に言えば、45枚の写真があるので、それが何市なのかを調べます。45個の市の名前の頭文字を拾っていくと、パスフレーズになる、というシンプルなミッションです。

が、問題文はシンプルなのですが、この頭文字というのが、現地語表記なのか、英語表記なのかや、住所のどこを「市」と呼ぶのかなど、微妙に曖昧なところがあり、頭を悩ませながら解き進めています。

ネタバレされても良いということでしたら、こちらの Google Slide で45都市の調査を行っていますので、参考にしてみてください。

なお、公式Twitterの発言にて、ある程度都市がうまったら、あとは総当たり攻撃でパスフレーズを見つけると良いよ、という身も蓋もないヒントが出ております。そういう「解ければ何でも良い」という姿勢、嫌いではありません。


ということで、前回の記事と合わせて、全ての入手可能な key の解き方をご紹介いたしました。途中で進展が止まっている key も複数ありますので、気になる問題があれば、ぜひ挑戦してみてください!

何か見つけたら、英語のハッシュタグ #satoshistreasure か、日本プレイヤー向けのハッシュタグ #サトシの秘宝 に情報をお寄せいただければ幸いです。

それでは、みなさま、楽しい宝探しを!

(文章:@epi_x

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