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2011年10月11日
ARGの力を説いた名著「Reality is Broken」の邦訳が発売!
10月7日に早川書房よりジェイン・マクゴニガル著『幸せな未来は「ゲーム」が創る』が発売されました。これは "Reality is Broken" というタイトルで今年の1月に出版された書籍の邦訳となります。
著者の Jane McGonigal 女史は、携わってきたゲーム一覧を見れば分かるとおり、数々のARGの制作を行ってきたトップクラスのARGクリエイターです。古くは I Love Bees の制作にも携わり、近年では The Lost Ring や Evoke などの大規模な ARG のディレクターを務めました。
そんな彼女が一気に有名になったのが、昨年行われた TED での講演「Gaming can make a better world(日本語字幕付き)」です。
世界中のゲームに夢中になっている何千万の人々を否定するのではなく、その力を活かせば、世界をよりよく変えていけるのだ、という力強いメッセージは、多くの人々の注目を集めました。現在バズワード化しつつある「ゲーミフィケーション」ブームも、(形は少し歪んでいるかもしれませんが)この講演が一つのトリガーになったのは間違いありません。
注目されている中で発売された本書は、TED の講演をさらに掘り下げた内容となっています。現実の問題を解決し、世界をよりよいものにするために、ゲームが(特に、代替現実ゲームが)持っている14の力を、1つずつ、具体例を挙げながら丁寧に解説していきます。
これまで、シリアスゲーム(ゲームの他分野の応用)やゲーミフィケーションと聞いて、「そんな取って付けたように、ニンジンをぶら下げても……」と、いまいちピンと来ていなかった人でも、本書を読めば、ゲームが本質的に現実世界を変えていくビジョンを得られることでしょう。
もちろん、ARGの事例紹介集として見ても、様々なARGがどのように参加者を巻き込んでいったのかの説明が豊富に載っていますので、ARGが持つパワーを理解する上で、大きな参考になるはずです。
また、日本語版の巻末には、ARG研究でも有名な慶應義塾大学の武山教授による解説も掲載されています。こちらも、ARG を明快に説明した解説となっていますので、ぜひ頭の整理のためにもご一読ください。
私自身は、まずエンタテインメントたること、という立場ですので、最初から社会善を主目的とすることには少し抵抗があるのですが、面白いものを作った結果として参加者が幸せになることは素晴らしいことだと思いますし、ARGにはその力があるとも信じています。
この邦訳を読んだ皆さんの中から、Jane さんの個人的ミッションである「25年以内にゲーム開発者からノーベル平和賞を出るのを見届ける」を実現する人が出ることを願っています!
記事元
Amazon: 『幸せな未来は「ゲーム」が創る』
http://janemcgonigal.com/
ゲーミフィケーションに関するリソース集 - Serious Games Japan
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