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2012年11月16日

「リアル悪の教典ゲーム」ベタ褒めレビュー


川崎のラ チッタデッラで開催中の「リアル悪の教典ゲーム 〜恐怖の頭脳改革〜」にご招待いただいたので、参加してきました。通常は謎解きイベントの開催中にネタバレできない状態で記事を書くことはしていないのですが、贔屓無しでARG情報局で取り上げたいと思えるイベントでしたので、初の試みとして紹介してみます。



会場となっている「ラ チッタデッラ」はイタリアの丘の上の街をイメージして作られたお洒落な複合商業施設です。この敷地内を歩き回って謎解きをする外伝的な謎解き「リアル悪の教典ゲーム 〜街伝〜」も用意されています。参加費1000円でクリア目安時間は90分。謎解き自体に目新しい要素はないのですが、謎解きイベント本編とバックグランドストーリーは繋がっています。

WonderQ公式twitterアカウントの投稿から
そして本命が特設会場内で実施される謎解きイベントです。当日一般3300円。会場のキャパはかなり余裕があるので、前売りを買わなくても大丈夫ではないかと思いますが、気になる方は前売りチケットをご利用ください。

6人1チームになって、サイコキラーの魔の手から逃れるというのが謎解きイベントの目的です。謎解き自体も楽しく、とにかくたくさん出てくる様々な難易度のナゾをチームで分担して解きまくるフロー体験と、要所要所で出てくるヒラメキが必要な関門を解いたときの達成感だけでも楽しめることは間違いないでしょう。コインを使った回数制限付きのヒントシステムが導入されており、初心者に優しくもあります。

しかし、このイベントを参加者が口々に褒める点はそれだけではありません。私が一番感服したのは、映画タイアップイベントとしての完成度です。映画「悪の教典」とストーリーは独立しているのですが、サイコキラーが現れ、その恐怖から逃げ出す、という映画の世界観を写し取った構成・演出は見事のひと言。演者の最低限の、しかし要点を突いた演技が、会場の不気味なセットと相まって、我々を異世界に引き込んでいきます。

WonderQ公式twitterアカウントの投稿から
特に素晴らしかったのが、映画セットのように全てを完全にフィクションの世界に包まずとも、参加者が没入するに必要十分な異世界感を、装飾・小道具・演者・音声・照明など複数のメディアを使って与えてくる演出です。謎解きという行為をしている以上、そこにストーリーへの没入との乖離があるわけですが、物語と謎解きゲームのきわどい両立を実現させるバランス感覚は素晴らしいものがありました。謎解きのガジェットに世界観を丁寧に反映させた小道具がたくさん登場することも一役買っているでしょう。

最後の最大の関門も、きちんとストーリーの流れに乗って思考を積み重ねていけばたどり着けます。そこには、クリアできたとしてもできなかったとしても、納得感があるでしょう。

これだけのプレイ後の満足感が得られるのは、世界観を丁寧に謎解きに定着させていることにあります。この世界観へのこだわりが別に現れているのが、事前情報ページともいえる「晨光学院南高校 2年B組 掲示板」です。


PVに隠されたURL http://furu.chu.jp/ からリンクが張られた http://furu.chu.jp/ura/ にパスワード tezukahideto を入力するとたどり着けるこのページ。開くと縦の長さに圧倒されると思いますが、要所だけ拾い読みするだけで、主人公(とあえて言いましょう)の手塚英人が何を考え、どう行動したのかが分かります。参加前の方は、ぜひヒデの想いを理解した上で謎解きイベントへ。そして、参加後の方も未読の方は必見です。

公演型の謎解きイベントでありながら、世界観の深い練り込みと、現場での一定水準以上の演出を行ったという点で、この「リアル悪の教典ゲーム」は体験型謎解きゲームの新たな境地を開拓したと言っていいでしょう。この水準の作り込みをするには、体験型謎解きゲームだけのバックグラウンドでは困難で、映画や演劇などの既存の表現技術のサポートを受けた上で、体験型娯楽作家とも言うべきスキルの持ち主がディレクションを行わねば実現できません。

WonderQ」と「チームだいたい」のコラボで生まれたこの新しい娯楽が、次に繋がっていくことを願っています。これがブレイクスルーとなって、様々なタイプの体験型娯楽作家が誕生してくると良いですね!

リアル悪の教典ゲーム 〜恐怖の頭脳改革〜」は11月25日(日)まで、平日17時・20時、土日祝11時・14時・17時・20時で開催中です。

関連リンク
リアル悪の教典ゲーム 〜恐怖の頭脳改革〜
WonderQ
チームだいたい
Twitter: @Wonder_Q, @team_daitai, @shinkougakuin

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