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2010年2月15日

国内ARGの現状と課題(私見)

2010年に入り、ARGの開催が急速に増加しています。2009年までは一部の層に限られていたARGでしたが、今年に入り普及段階に入ったといえるかと思います。
ARGの開催数が増えたことで、現在行われているARGの問題点と今後の課題も見え始めてきました。

今回は、あくまで私見であるということを踏まえた上で、国内ARGについて、今どのような状況に置かれているのか、そして今後どのようになっていくのが望ましいのかを書きたいと思います。

【現在の状況】

・国内ではTwitterがARGの中心要素

 現在の国内ARGは、大きくわけて2タイプにわけられると見ています。すなわち、「Twitterを中心としたARG」と、「Twitterで話題にならないARG」です。
 「Twitterを中心としたARG」は、最近の例でいうと「Sync Future」や「Twitarg」などが挙げられます。こうしたARGはTwitter上で活発に意見のやりとりが行われ、プレイヤー間のコミュニケーションが発生している一方、参加するプレイヤーが固定化される傾向が見られ、複数同時開催されると「プレイヤーの奪い合い」が発生することが懸念されます。また、コミュニケーションがTwitterからさらに派生するということは稀である上、後続プレイヤーが参加しないため、初期プレイヤーが消失するとARGが破綻する危険性をはらんでいます。
 「Twitterで話題にならないARG」は、「マノスパイ」や「サーティーナインクルーズ」などが挙げられます。これらは「Twitterを中心としたARG」とはほとんど真逆の性質を持っており、プレイヤー間のコミュニケーションがあまり発生しない傾向にあります。コミュニケーションが発生しないためプレイヤーは基本的に個人でプレイすることとなり、謎解きに関してほとんど進まないか、進んだとしても情報共有が行われず、個人で完結するケースが見られます。時期に関係なく後続プレイヤーは出現する可能性がありますが、情報共有が行われないため、第三者からは盛り上がっていないように見えてしまいます。

・求める内容も二分化傾向

 「Twitterを中心としたARG」の場合、プレイヤーはストーリーよりも謎解きを重視する傾向があるようです。これはTwitterがリアルタイムなやりとりに特化されているため、長期的で時間のかかるストーリーを追うのに適していないためと考えられます。
 「Twitterで話題にならないARG」は逆で、情報共有を図る場がないため、個人で楽しめる内容を求める傾向が強く、じっくり見ることができるストーリーに意識が偏りがちで、個人で解決の難しい謎解きや、コミュニケーションを要求されるようなミッションは放置されがちであるようです。

【今後の課題】

・いかにTwitter外でコミュニケーションを発生させられるか

 Twitterは十数人程度の小規模なコミュニケーションには最適ですが、数百人規模のコミュニケーションになった場合、Twitterではユーザーにかかる負担が重くなりすぎる可能性があります。想定するユーザー数にもよりますが、今後多くの参加者を想定したARGを展開するのであれば、Twitterのみに依存したコミュニケーションの発生からは早々に脱却する必要があると思います。
 これはTwitterを使用しないほうがいいというわけではなく、Twitterはあくまでメディアのひとつにすぎないということを認識し直す必要があるということです。また、Twitterに依存しないARGの場合は、コミュニケーションを取れる場をより積極的にサポートして、情報共有を促進させる必要があるでしょう。

・長期間のARGデザイン

 数日間で完結するARGのノウハウが蓄積されつつあることで、短期的にプレイヤーをひきつけるゲーム性は判明しつつありますが、数週間にわたって開催されるARGの実施数が少ないため、今後は長期間ARGのノウハウが求められていくと思われます。長期間ARGを維持するためには、プレイヤーを引き寄せ続けるためのゲームデザインが必要となってくるだけでなく、ゲーム内でプレイヤーを育成する必要も出てくるため、短期間ARGとは違ったアプローチが求められると考えられます。

【まとめ】

 現在、潜在的なARGのコアプレイヤーには認知が一通り広まったことで、第一段階のブームは一巡したと考えられます。次に必要なステップとして、この流れをマスに広めるためにはどうすればいいかを考える必要があります。そのためにはより幅広いメディアを使用し、プレイヤースキルの異なるプレイヤーに対して誰でも楽しめるゲームを提供していく必要が出てくるかと思います。
 すでに「観光ARG」のように国内独自の新しいARGジャンルも登場していますので、第二段階でさらにどのようなものが登場するのか、非常に期待したいところです。

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